スペシャル対談 第1

樋口恵子先生
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かづきれいこ

人生100年時代。よりよく生きるためのヒント

インストラクター養成コースの講師として、長年ご尽力いただいている樋口先生。
講義のテーマでもある「人生100年時代の女の生き方、働き方」について、改めてかづきと語り合いました。

樋口恵子先生

評論家、NPO法人「高齢社会をよくする女性の会」理事長、東京家政大学名誉教授。

ピンピンとコロリの間が長い女性の高齢期

かづき
いつもお元気で若々しい樋口先生ですが、おいくつになられましたか?
樋口
もう87歳なんですよ。私、こう見えてスポーツ観戦が大好きで、来年の東京オリンピックを観るまは頑張りますよ! アスリートのやる気や躍動感などからパワーをもらうのも元気の秘訣かもしれまん。
かづき
先日は、秋田までお出かけだったとか。
樋口
私が理事長をつとめる『高齢社会をよくする女性の会』の全国大会が秋田市であったんです。来年は東京でやりますから、かづきさんもぜひ、ご協力くださいね。
かづき
もちろん! よろしくお願いします。今や『人生100年時代』ですから、高齢社会をよくするには女性の力が欠かせませんよね。
樋口
親しくしている大学の先生が高齢化社会についていろいろと研究していて「ピンピンコロリというのは滅多にない」と言うんです。みんなそれを望むけど、多くの人は「ピンピンスタスタヨタヨタヘロヘロドサリ」だと。日本人の平均寿命は、女性が87.26歳で男性は81.09歳。女性のほうが平均寿命と健康寿命の差が大きくて、ヨタヨタヘロヘロ期が長いんです。これは由々しき問題で、健康寿命を延ばす方法をみんなで考えていかねばなりません。

少子高齢化に加えてファミレス社会も到来

かづき
先ほどのお話だと、先生のご年齢はようやく平均寿命になったところなのですね
樋口
そうよ! それがいちばん言いたいこと!(笑)30年くらい前の感覚だと87歳はすごく長生きですけど、私自身は今やっと平均寿命に届いたというのが実感です。
かづき
そう考えると、まだまだこの先長いですよね。私もますます頑張らないと!
樋口
日本の人口構造の変化から言えば『人生100年社会』が一つのキーワードで、もう一つのキーワードは『少子高齢化社会』、私はさらにもう一つ『ファミレス社会』というのを加えています。これはファミリーレストランのことではなくて、『家族がLESS(レス)』で少なくなっていく社会。その中で自分の周囲の人も老いていくんです。今、厚労省の人口問題研究所の予測では2040年が高齢化のピークといわれていますが、あと20年しかありません。65歳以上の人口が4割になり、その高齢者の中の4割が一人暮らしになると予測されているんです!
かづき
これからの人生設計は、そうしたキーワードをきちんと踏まえながら考えていくことが大切ですね。もちろん、国の政策や街づくりや商業活動なども同じですが……。

モデルのない世界をたくましく生き抜くために

樋口
家族でなくても、地域を中心にお互いが助け合う制度、しくみと関係性を養っていくことが大切にるのは間違いありません。
かづき
老老介護は当たり前だし、親より子どものほうが先に亡くなることも珍しくない。家族だけで助け合うのにも限界がありますよね。
樋口
今の時代は、どんな年代の人もモデルのない世界を生きているんです。平均寿命はさらに延び、少子高齢化やファミレスが進んだらいったい自分はどうなるのか、どう生きればいいのか、誰にも正解はわからないのです。
かづき
でも、だからこそ、これまでになかった新しいモデルを目指せますよね。70歳を過ぎたうちの生徒さんで働く意欲はあるのに面接を受けてもどこも受からなかったんですって。それがかづきメイクをして面接に行ったら合格したんです。若々しくて元気に見えて、若い人以上にスキルがあるから鬼に金棒ですよね!
樋口
私、『働く』ことは『傍(はた=周り)をラクにする』ことにつながると思うんです。周りにいる人を助けてラクにし、自分も周りの人もきれいになれば、社会にどんどん進出していけます。生きがいは女性の健康寿命を延ばすことにもなり、かづきさんのメイクはそれに大いに役立ちます。だから頑張ってくださいね!

人生100年時代をよりよく生きるために- 樋口先生からのヒント

  1. 人生いつでもスタートライン。人生100年遅すぎるスタートはない。
  2. 手に技を。技は身を助け、社会とのつながりを広げます。
  3. 人間関係は長い目で。他人の長所は真似して自分を伸ばそう。

樋口恵子先生 プロフィール

1932年東京生まれ。1956年3月、東京大学文学部美学美術史学科卒業・東京大学新聞研究所本科修了。時事通信社、学習研究社、キヤノン株式会社を経て、評論活動に入る。専門は女性学、家族関係学、高齢社会論。「私の老い構え-元気に生きる女の16章」(文化出版局)、「女一生の生き方貧乏ばあさん(BB)から働くハッピーばあさん(HB)へ」(海竜社)など著書多数。

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